フォアボール(四球)は野球の試合の中で重要な位置付けを占めています。一例として、映画「マネーボール」では、打率ではなくフォアボールを含む出塁率を重要視した「セイバーメトリクス」の利用に基づくチーム編成をすることで強いチームを作り上げる実話があります。
今回はそのフォアボールについての用語解説とフォアボールにまつわる記録をまとめます。
フォアボール(四球)とは
フォアボールとは、1回の打席でボールカウントのボールが4球に達すると、一塁に出塁できることです。
フォアボールは漢字で「四球」
フォアボールはボール4球で成立することから四球(しきゅう)と表現されます。
実現場では四球とは言わず、フォアボールと言います。
また、フォアボールの由来はFour Ball(4つのボール)から来ており、和製英語になります。
また、ピッチャーが与える四球は与四球と言います。
フォアボールは英語で「Walk」
フォアボールは和製英語だとお伝えしました。このフォアボール、じつは英語で「Walk」と言われています。これはバッターが一塁ベースまで歩いていくことが出来るためです。
フォアボール(四球)を選択するメリット
攻撃側のチームが、フォアボールを選択することで、「自分たちが得られるもの」と「相手チームに与える影響」の2点においてメリット得ることができます。
フォアボールで自チームが得られるもの
- 一塁へ確実に出塁できる
- バッターだけではなく、1つ前の塁にランナーがいる場合は各ランナーも次の塁にへと進める
フォアボールで相手チームに与える影響
- 時間的:最低でも4球投じることから、時間がかかり守備側のリズムが悪くなる
- 精神的:守っているチームメイトは「ピッチャーの独り相撲」と感じやすくなる
- 身体的:球数を投げさせることで投手に疲労が溜まる
フォアボールは状況によって狙うの?
フォアボールは、ピッチャーの状態によって狙いにいくことができます。また、状況によってはヒットを打つことよりもフォアボールを選択することがより相手に影響を与えることもあります。
そんなことも踏まえて、フォアボールはいつ狙うべきかについてまとめます。
- ピッチャーの立ち上がり(先発投手の初回やリリーフピッチャーに変わった時)
- ピッチャーのコントロールが定まらないとき
- 相手のピッチャーの調子がいいとき
- 前のバッターがストレートのフォアボールで出塁したとき
- カウントがボール先行のとき
- どうしても出塁が必要なとき
フォアボール(四球)の記録
シーズンフォアボール(四球)記録
シーズンの四球記録は、1位から4位までを「世界のホームラン王」王貞治選手が総なめしており、1位になった1974年には130試合で158個のフォアボールを選んでいます。つまり、この年は1試合に1個以上のフォアボールを選択していたことがわかります。
選手名 | チーム | 四球 | 年 | 試合数 |
王 貞治 | 巨人 | 158 | 1974 | 130 |
王 貞治 | 巨人 | 142 | 1966 | 129 |
王 貞治 | 巨人 | 138 | 1965 | 135 |
王 貞治 | 巨人 | 130 | 1967 | 133 |
丸 佳浩 | 広島 | 130 | 2018 | 125 |
通算フォアボール(四球)記録
通算四球記録、最も多くのフォアボールを選んだのはシーズン四球記録の保持者でもある、王貞治選手の2390個で、2位につけた落合博満選手が選んだ1475個のフォアボールに大きく差を付けています。
また、その他にも金本知憲選手、清原和博選手、張本勲選手など強打者が並んでいます。このことから、強打者にはストライクとボールを見極める力が高いことが強打者の条件であることがわかります。
選手名 | 四球 | 試合 |
王 貞治 | 2390 | 2831 |
落合 博満 | 1475 | 2236 |
金本 知憲 | 1368 | 2578 |
清原 和博 | 1346 | 2338 |
張本 勲 | 1274 | 2752 |
フォアボール(四球)に関する珍事件
4ボール目の見落とし
フォアボールになっても球審が気づかずに、またバッターやピッチャーなどがアピールしない限りプレイ続行となります。
実際に1987年の読売ジャイアンツ対広島東洋カープ戦でその事象が起こった。更にその直後に、バッター吉村禎章選手(ジャイアンツ)2ストライク4ボールからホームランを放っている。
また、2018年8月9日、広島東洋カープ対中日ドラゴンズの一戦、バッター鈴木誠也選手(カープ)カウント4ボール2ストライクとるが誰もフォアボールに気付くことなくプレーを継続。結果セカンドゴロで凡退した。
フォアボール(四球)の導入までの歴史
メジャーリーグが発足した1876年には四球(フォアボール)の代わりに九球(ナインボール)というルールでスタートした。以降、1880年に八球(エイトボール)、1882年に七球(セブンボール)、1884年に六球(シックスボール)、1886年に七球(セブンボール)、1887年に五球(ファイブボール)、そして1889年に現行のルールである四球(フォアボール)が導入されています。
フォアボール(四球)はヒットと同じ効果を持つ
フォアボールにはヒットでは与えることのない影響を相手チーム与えることができます。
また、勝敗を左右するピンチやチャンスの場面でのボール1球は球場にどよめきをも与えます。1球ごとに唾を飲み込むような瞬間を味わってもらえると、野球の面白さがまた一段と増すことと思います。