テクノロジーの進化により、野球を楽しむ新しい方法が多様化する中、近年注目を集めるのがスタットキャストです。これまで、漠然とでしか選手の凄さを理解できていなかったパフォーマンスを数値化することを可能にしました。今回はスタットキャストの膨大なデータの中から「打球速度」に注目し、メジャーリーガーが放つ打球がいかに速いものかをまとめました。

打球速度とは?

打球速度とはバッターが放った打球の速さを示すものです。

また、打球速度は、ボールがバットから打ち放たれて直ぐの「初速」が計測値として使われます。

打球速度ランキング

打球速度が最も速かった各シーズン(2019年から2021年)のTop10をピックアップし、シーズン毎にまとめました。

2021年シーズン

2021年、打球速度が最も速かったのは、ニューヨーク・ヤンキース所属のG・スタントン選手のセカンドゴロ(196.7km/h)でした。惜しくも相手野手に捕球されダブルプレーに終わるも、目の覚めるような痛烈なゴロとなりました。

また、1位から10位の中で、9本をG・スタントン選手が占め圧倒的な力強さを見せつけ、4年連続で打球速度ランキング1位となりました。

順位選手名打球速度飛距離結果
1Giancarlo Stanton 196.7km/h17.7m内野ゴロ
2Giancarlo Stanton195.0km/h14.9mシングルヒット
3Giancarlo Stanton193.7km/h10.1mシングルヒット
4Giancarlo Stanton193.5km/h7.3m内野ゴロ
5Giancarlo Stanton193.4km/h58.8mシングルヒット
6Giancarlo Stanton193.2km/h20.7mシングルヒット
7Giancarlo Stanton192.6km/h8.8mシングルヒット
Manny Machado192.6km/h108.8mホームラン
9Giancarlo Stanton192.2km/h29.0m内野ゴロ
10Giancarlo Stanton192.1km/h36.6mシングルヒット
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2021年4月終了時点

2021年の野球シーズンが開幕しましたが、既に打球速度において驚異的な数値を記録しているので、印象的なバッティングをまとめました。

打球速度191.5キロ(大谷翔平選手)

現地時間4月12日のカンザスシティ・ロイヤルズ戦にて、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷選手は打球速度191.5キロの二塁打を記録しました。

トラックマン導入以降で打球速度191.5キロ(119マイル)を超える打球を放った選手はこれまで大谷選手を含めてたった5人しか達成していない偉業なのです。

また、MLBのオフィシャルサイトでは”Ohtani hits a ROCKET!(大谷がロケットを放った)”などと称されました。

打球速度193.1キロ(G・スタントン選手)

現地時間4月13日のトロント・ブルージェイズ戦にて、G・スタントン選手が193.1キロ(120.0マイル)と大谷選手が放った打球速度より1マイル速い打球でのシングルヒットを放ちました。

https://baseballsavant.mlb.com/sporty-videos?playId=a0571ed3-a7cb-4a9a-80f1-5cf2bbf761cd

2020年シーズン

順位選手名打球速度飛距離結果
1Giancarlo Stanton195.3km/h147.2mホームラン
2Pete Alonso190.6km/h96.6mツーベースヒット
3Gary Sanchez189.2km/h113.1mツーベースヒット
4Rowdy Tellez189.0km/h130.8mホームラン
5Giancarlo Stanton188.9km/h4.3m内野ゴロ
6Giancarlo Stanton188.4km/h16.5mシングルヒット
7Pete Alonso188.2km/h111.6mホームラン
8Rafael Devers187.9km/h111.3mシングルヒット
9Rafael Devers187.6km/h126.8mホームラン
10Pete Alonso187.2km/h122.5mホームラン
選手名をクリックして動画をチェック

2020年、打球速度が最も速かったのはニューヨークヤンキース所属のG・スタントン選手が左中間スタンドに放ったホームラン、その打球速度は195.3km/h。2017年から3年続いての1位を飾りました。詳しくは以下のURLから記録を飾った動画をご覧ください。

また、10位にランクインした打球速度では187.2km/hを記録し、メジャーリーガーのパワーの凄まじさを物語っています。

2019年シーズン

2018年に続き2年連続ヤンキースのG・スタントン選手が打球速度194.2kmのシングルヒットの記録です。また、10位にランクインしたJ・アブレイユ選手、C・イェリッチ選手、Y・アルバレス選手も打球速度189.9kmの打球を放ちました。

順位選手名打球速度飛距離結果
1Giancarlo Stanton194.2km/h31.1mシングルヒット
2Giancarlo Stanton191.4km/h59.1mシングルヒット
Vladimir Guerrero Jr.191.4km/h50.9mシングルヒット
4Vladimir Guerrero Jr.191.1km/h111.6mホームラン
5Vladimir Guerrero Jr.190.5km/h14.6mシングルヒット
6Aristides Aquino190.5km/h135.6mホームラン
Pete Alonso190.5km/h138.4mホームラン
Gary Sánchez190.5km/h125.6mホームラン
9Aaron Judge190.1km/h57.3m内野ゴロ
10José Abreu189.8km/h66.1mツーベース
 Christian Yelich189.8km/h77.7mツーベース
 Yordan Alvarez189.8km/h12.8m内野ゴロ
選手名をクリックして動画をチェック

平均打球速度ランキング

平均打球速度が最も速かった各シーズン(2019年から2021年)のTop10をピックアップし、シーズン毎にまとめました。

2021年シーズン

2021年平均打球速度が最も速かったのが、ニューヨーク・ヤンキースのA・ジャッジ選手の154.2km/hでした。惜しくも2年前の154.6km/hの記録を超えることは出来ませんでしたが、2021年の打球速度ランキング一位を飾ったG・スタントン選手を1.1km/h超える速さとなりました。

順位選手名平均打球速度
1Aaron Judge154.2km/h
2Giancarlo Stanton153.1km/h
Vladimir Guerrero Jr.153.1km/h
4Josh Donaldson 151.5km/h
5Fernando Tatis Jr.151.2km/h
Shohei Ohtani 151.2km/h
7Miguel Sano 150.4km/h
8Yordan Alvarez150.1km/h
9Manny Machado149.9km/h
10Salvador Perez149.7km/h
2021年シーズン終了時点

2020年シーズン

平均打球速度が最も速かった選手はサンディエゴ・パドレスのタティースJr.であり、その平均打球速度は154.4km/hです。

順位選手名平均打球速度
1Fernando Tatis Jr.154.4km/h
2Miguel Sano153.3km/h
3Christian Yelich151.3km/h
4Mike Trout150.9km/h
5Matt Chapman150.7km/h
6Travis d’Arnaud150.4km/h
7Teoscar Hernandez150.2km/h
8Miguel Cabrera150.1km/h
9Corey Seager150.1km/h
10Joc Pederson149.7km/h
2020年シーズン終了時点

2019年シーズン

2019年平均打球速度が最も速かったのが、ニューヨーク・ヤンキースのA・ジャッジ選手の154.6km/hでした。

順位選手名平均打球速度
1Aaron Judge154.6km/h
2Miguel Sano152.0km/h
3Nelson Cruz150.9km/h
4Kyle Schwarber150.5km/h
5Franmil Reyes150.2km/h
6Christian Yelich150.1km/h
7Yoan Moncada149.9km/h
8Josh Donaldson149.6km/h
9Shohei Ohtani149.4km/h
10Matt Chapman149.2km/h
2019年シーズン終了時点

番外編(投手の平均打球速度)

2019年シーズン

投手における最高平均打球速度は、投手と野手の二刀流のL・マイケル選手。その平均打球速度はなんとニューヨーク・ヤンキースのA・ジャッジ選手を上回る156kmです。

アナハイム・エンジェルスに所属する大谷翔平選手は平均打球速度150.4kmの投手の中で17位となります。

打球速度は英語でなんていうの?

英語で打球速度は「Exit Velocity」と言います。よく速度をSpeedと表現されますが、正しくは 速度を表すVelosityですので注意しましょう。

打球速度を理解してMLBを楽しもう

打球速度2019年及び2021年を分析しましたが、3年続けてヤンキースのG・スタントン選手が190kmを超す打球速度を計測。また、平均速度においても3年続けてに154km/hを記録しました。

これからもMLB選手が放つ打球速度に目が離せません。

関連記事:NPB・MLBの史上最長飛距離はどのホームラン?

参考:Baseball Geeks【ミニコラム】MLB週間打球速度ランキング(2018/8/7~13)