身長と体重、それはプロ野球選手とは切手も切り離すことのできないものです。一般的には「体が大きい選手はパワーがある」や「プロ野球選手になる上で背が高いと有利」などと言われていますが、この一般論は果たしてどこまで本当なのでしょうか。本記事ではは実際にNPB(セ・リーグとパ・リーグ)とMLBの選手の身長と体重を分析しました。どんな選手がいるのか見ていただき、自分自身がどんな選手に近いのかやどんなタイプの選手になりたいかを客観的に見てもらいたいです。
※NPBの選手データは2020年度シーズン終了時のデータを活用(2020年12月6日時点)
※MLBは各チームのオフィシャルサイトに記載の選手データを活用(2020年12月6日時点)
野球選手の身長と体重を四種類に分類
野球選手の身長と体重の特性は平均値から以下の4つに分類することができます。それぞれの特徴に最適なポジションもあわせて載せてありますので、自分にあった体系とポジションを探してみてください。
- 高くて細い:主にピッチャーに多い
- 高くて太い:内野のファーストやサード、外野のレフトなどセンターラインから外れる選手に多い
- 低くて細い:内野のショートやセカンドに多い
- 低くて太いの:投手では球威があり、野手では長距離砲の選手に多い
セ・リーグの平均身長・平均体重
418人の支配下登録された選手を対象に身長と体重を、縦軸を身長、横軸を体重としそれぞれプロットしました。その結果、第一線で活躍されるプロ野球選手の平均身長は180.87cm、平均体重は85.37kgであることがわかりました。
身長が高い・体重が重い代表的な選手
藤浪晋太郎 197㎝ 100kg
- 所属:阪神タイガース
- 出身地:大阪府堺市南区
- 生年月日:1994年4月12日
- ドラフト:2012年 ドラフト1位
- 球歴:大阪桐蔭高等学校⇒阪神タイガース (2013 – )
- ポジション:ピッチャー
- 投打: 右投右打
コメント:最速162キロの直球と無尽蔵のスタミナなど高いポテンシャルを備えた右腕。ここ数年は突如発症する制球難に苦しんできたが、今季はリリーフ転向を機に改善の兆しを見せた。先発に戻る来季には真価が問われます。
ジャスティン・ボーア193㎝ 122kg
- 所属:阪神タイガース
- 出身地:アメリカ合衆国
- 生年月日:1988年5月28日
- ドラフト:2009年 MLBドラフト25巡目
- 球歴:ウェストフィールド高等学校⇒ジョージ・メイソン大学⇒マイアミ・マーリンズ (2014 – 2018)⇒フィラデルフィア・フィリーズ (2018)⇒ロサンゼルス・エンゼルス (2019)⇒阪神タイガース(2020)
- ポジション:ファースト
- 投打: 右投左打
コメント:メジャー6年で92本塁打を放った長距離砲は今季加入した阪神でも99試合で17本塁打、長打率422と実力の片鱗を見せつけた。守備では某野球雑誌に「工事用のカラーコーンを置いたとほうがマシ」と酷評されるレベルです。
身長が高い・体重が軽い代表的な選手
アドゥワ誠 196cm 85kg
- 所属:熊本県熊本市中央区
- 生年月日:1998年10月2日
- ドラフト:2016年 ドラフト5位
- 球歴:松山聖陵高等学校⇒広島東洋カープ (2017 – )
- ポジション:ピッチャー
- 投打: 右投右打
コメント:ナイジェリア出身の父と元バレーボール選手の母を持つサラブレット右腕。長身から投げ下ろす最速147キロのツーシームを持ち味とし、フィールディングの良さも特徴です。
戸郷翔征 186cm 75kg
- 所属:読売ジャイアンツ
- 出身地:宮崎県都城市
- 生年月日:2000年4月4日
- ドラフト:2018年 ドラフト6位
- 球歴:聖心ウルスラ学園高等学校⇒読売ジャイアンツ (2019 – )
- ポジション:ピッチャー
- 投打:右投右打
コメント:2020年シーズン飛躍を遂げた2年目の右腕。長身から繰り出す最速154キロの直球と多彩な変化球が持ち味。また本人曰く身に付けた変化球は全て独学で習得したものだと供述するほどの勉強熱心な選手です。
身長が低い・体重が重い代表的な選手
戸根千明 174cm 100kg
- 所属:読売ジャイアンツ
- 出身地:京都府京田辺市
- 生年月日:1992年10月17日
- ドラフト:2014年 ドラフト2位
- 球歴:江の川高等学校⇒石見智翠館高等学校⇒日本大学⇒読売ジャイアンツ (2015 – )
- ポジション:ピッチャー、外野手
- 投打:左投左打
コメント:フィリピン人の母親を持ち助っ人外国人に見劣りしない体型から力強い直球を投げ抜く左腕。打撃能力の高さも活かし今季途中から二刀流に挑戦中です。
身長が低い・体重が軽い代表的な選手
柴田 竜拓 167cm 68kg
- 所属:横浜DeNAベイスターズ
- 出身地:岡山県岡山市東区
- 生年月日:1993年12月16日
- ドラフト:2015年 ドラフト3位
- 球歴:岡山理科大学附属高等学校⇒國學院大学⇒横浜DeNAベイスターズ (2016 – )
- ポジション:セカンド、ショート、サード
- 投打:右投左打
コメント:プロ5年目の「ハマの牛若丸」。堅実な守備に加えバットをしっかりと振り切るため、小柄ながら長打も多く放つ。その反面、選球眼も良くチームに欠かせない存在です。
パ・リーグの平均身長・平均体重
416人の支配下登録された選手を対象に、縦軸を身長、横軸を体重としそれぞれプロットしました。その結果、第一線で活躍されるプロ野球選手の平均身長は180.49cm、平均体重は84.63kgであることがわかりました。セリーグに比べてわずかに身長が低く、体重が軽いようです。
身長が高い・体重が重い代表的な選手
エルネスト・メヒア198cm 118kg
- 所属:埼玉西武ライオンズ
- 出身地:ベネズエラ
- 生年月日:1985年12月2日
- ドラフト:2002年 アマチュア・フリーエージェントとしてアトランタ・ブレーブスと契約
- 球歴:サグラド・コランソ・デ・ヘスス高等学校⇒埼玉西武ライオンズ (2014 – )
- ポジション:ファースト
- 投打:右投右打
コメント:驚異のパワーを誇るベネズエラ出身の助っ人。メジャー経験はないが7年間でNPB通算141本塁打を記録。また毎年シーズンオフに母国で激太りしてしまうので、球団からは自主トレの様子を動画で送るよう指示されています。
身長が高い・体重が軽い代表的な選手
ブランドン・ディクソン 195cm 84kg
- 所属:オリックス・バッファローズ
- 出身地:アメリカ合衆国
- 生年月日:1984年11月3日
- ドラフト:2006年 アマチュアFA
- 球歴:マーベリー高等学校⇒セントラル・アラバマ短期大学⇒タスカラム大学⇒セントルイス・カージナルス (2011 – 2012)⇒オリックス・バファローズ (2013 – )
- ポジション:ピッチャー
- 投打:右投右打
コメント:先発と中継ぎ両方をこなすユーティリティー投手。ナックルカーブを主体にピッチングを組み立て内野ゴロの山を築く。2019年に行われたプレミア12のアメリカ代表にも選出され抑え投手を努めた経験があります。
身長が低い・体重が重い代表的な選手
井上晴哉180cm 114kg
- 所属:千葉ロッテマリーンズ
- 出身地:広島県広島市東区
- 生年月日:1989年7月3日
- ドラフト:2013年 ドラフト5位
- 球歴:崇徳高等学校⇒中央大学⇒日本生命⇒千葉ロッテマリーンズ (2014 – )
- ポジション:ファースト
- 投打:右投右打
コメント:出生時の体重は、約5,200グラムとビッグサイズであり現在の体重114キロはプロ野球選手の中でも大柄な部類に入る右の長距離砲。豪快なバッティングに加え広角に打ち分ける技術も一流。使用しているバットは重さ930グラム、長さ87センチとこちらもプロ野球界で巨大とされています。
身長が低い・体重が軽い代表的な選手
水口大地 163cm 70kg
- 所属:埼玉西武ライオンズ
- 出身地:長崎県諫早市
- 生年月日:1989年6月28日
- ドラフト:NPB / 2012年 育成選手ドラフト1位
- 球歴:長崎県立大村工業高等学校⇒長崎セインツ (2008 – 2010)⇒香川オリーブガイナーズ (2011 – 2012)⇒埼玉西武ライオンズ (2013 – )
- ポジション:セカンド、サード、レフト
- 投打:右投左打
コメント:俊足を生かした守備がウリの内野手。プロ野球選手の中では非常に小柄な部類だが、力強い打撃も持ち味としている。また身長を高校時代は171cm、西武入団時は165cmとサバを読んで登録していたが、3年目開幕前には実際の高さである163cmに修正しました。
MLBの平均身長・平均体重
1,119人の40人ロースターに登録された選手(2020年12月2日時点にオフィシャルサイトに載っている選手対象)の平均身長は187.81cm、平均体重が95.47kgとなり、日本のプロ野球選手と比較すると約7cm程身長が高く、体重も約10kg程重いことが分かります。
一方で、平均値でなく、中央値でみると身長が182.88cm、体重が90.72kgと身長は日本とほぼ変わらないことが分かります。
身長が高い・体重が重い代表的な選手
アーロン・ジャッジ(Aaron Judge)201cm 128kg
- 所属:ニューヨーク・ヤンキース
- 出身地:アメリカ合衆国(カリフォルニア州サンホアキン郡リンデン)
- 生年月日:1992年4月26日
- ドラフト:2013年 MLBドラフト1巡目追補
- 球歴:リンデン高等学校⇒カリフォルニア州立大学フレズノ校⇒ニューヨーク・ヤンキース (2016 – )
- ポジション:外野
- 投打:右投右打
コメント:当時低迷期のヤンキースに突如現れた新星。メジャーに初昇格して2年目にいきなり52本塁打を放つなど規格外のパワーを見せつけ本塁打王を獲得、MVP投票でも2位につけた。守備では高身長を生かし、本拠地ヤンキースタジアムでは相手のホームランボールをジャンプせずにキャッチすることもあります。
身長が高い・体重が軽い代表的な選手
クリス・セール(Chris Sale)198cm 83kg
- 所属:ボストン・レッドソックス
- 出身地:アメリカ合衆国(フロリダ州ポーク郡レイクランド)
- 生年月日:1989年3月30日
- ドラフト:2010年 MLBドラフト1巡目
- 球歴:レイクランド高等学校⇒フロリダ・ガルフ・コースト大学⇒シカゴ・ホワイトソックス (2010 – 2016)⇒ボストン・レッドソックス (2017 – )
- ポジション:ピッチャー
- 投打:左投左打
コメント:細身ながら最速161キロのツーシームと切れ味鋭いスライダーで三振を量産する本格派左腕。2017年はアメリカンリーグ史上2人目となるシーズン300奪三振を達成。また彼の愛称は投球フォームが翼を広げたコンドルに似ているため「The Condor」と称されています。
身長が低い・体重が重い代表的な選手
アレハンドロ・カーク(Alejandro Kirk)173cm 120kg
- 所属:トロント・ブルージェイズ
- 出身地:メキシコ(バハ・カリフォルニア州ティフアナ)
- 生年月日:1998年11月6日
- ドラフト:2016年 アマチュアFA
- 球歴:トロント・ブルージェイズ (2020 – )
- ポジション:キャッチャー
- 投打:右投右打
コメント:今季9月にデビューしたブルージェイズの大型捕手。まだまだキャッチングに課題が残るものの卓越した選球眼とパワフルな打撃が持ち味です。
身長が低い・体重が軽い代表的な選手
ホセ・アルトゥーベ (Jose Altuve)168cm 75kg
- 所属:ヒューストン・アストロズ
- 出身地:ベネズエラ(アラグア州マラカイ)
- 生年月日:1990年5月6日
- ドラフト:2006年 アマチュア・フリーエージェントとしてヒューストン・アストロズと契約
- 球歴:ヒューストン・アストロズ (2011 – )
- ポジション:セカンド
- 投打:右投右打
コメント:愛称は「豆タンク」。盗塁王を2度(2014年、2015年)獲得するスピード、首位打者3度(2014年、2016年、2017年)の確実性に加え、昨シーズンは31本塁打を放つなどパワーも開花させた。なお彼は現在の現役メジャーリーガーの中で最も低身長の選手です。
身長が低くてもプロ野球になれる!
いかがでしたか。身長が高い選手には体重の重さ関係なく代表的な選手に投手が多いことが分かりました。
また、身長が低く体重が軽い選手には日米共にショートやセカンドなどに集中していることが分かります。
このことから、選手のパフォーマンスは体系と少なからず連動していることがあることが分かります。自分がプレーヤーとして活躍するためにどんな選手であることがいいのか、等考えてもらいながら野球に触れてもらえれたと思います。