敬遠は野球の勝敗を左右する局面で使われる采配の一つです。今回はその敬遠について、用語解説・日本の敬遠記録と歴史を一挙に紹介します。

敬遠とは

敬遠とは、ピッチャーがバッターに対して故意的にフォアボールを与えることです。

また、敬遠はバッターがボールに当てることのできない距離にボールを投げる必要がある為、キャッチーが立ち上がりバッターとの距離を取った場所にボールを要求します。

敬遠を選択する場面

敬遠をする場面は守備側のチームがピンチを迎え、相手バッターが強打者である時、ヒットを打たれたくない時、次のバッターの方がよりアウトを取りやすい時です。

敬遠は監督がサインを出すこともあれば状況によってはキャッチャーが指示することもあります。

また、敬遠は合終盤の勝負がかかった場面で用いられることが多いです。

敬遠するメリットとそのデメリット

敬遠にはメリットとデメリットがある為、状況に応じて適切な判断を下す必要があります。

メリット

敬遠はホームランを含む長打を回避できる。

デメリット

敬遠は無条件でランナーを出塁させる。

申告敬遠とは

申告敬遠とは、2017年より導入された新たなルールです。

これまで四球のボールを投球することで敬遠が成立していたのが、守備側のチームの監督が敬遠の意思を申告をすることで、ボールを投球せず敬遠が成立するようになりました。
これは試合時間短縮を狙った施策で、2017年にアメリカのメジャーリーグ(MLB)が導入し、翌2018年に日本プロ野球(NPB)に導入されています。

敬遠のプロ野球記録【徹底分析】

敬遠におけるプロ野球の記録を、申告敬遠の導入前と導入後での変化、リーグ、2020年シーズン、現役選手、歴代記録と様々な角度から徹底分析します。

リーグ編(2016年~2020年シーズン)

敬遠の記録は申告敬遠制度が導入された2018年と前年2017年シーズンを比較すると、約3倍近く敬遠が増加しています。

また、横浜DeNAベイスターズに至っては、2017年から2018年で4倍の56敬遠が行われています。

2016年2017年2018年2019年2020年
セ・リーグ7143134193152
パ・リーグ614712910777
合計13290285300229

2020年シーズン編

2020年シーズンは合計229回の敬遠が行われています。
その内訳はセ・リーグで152回の敬遠、パ・リーグで77回の敬遠となっており、セ・リーグはパ・リーグの二倍近くの敬遠が行われていることが分かります。

また、セ・リーグとパ・リーグ両リーグの個別選手での敬遠の記録は次の通りです。
セ・リーグ 鈴木誠也 12敬遠(シーズン成績:3割3分5厘、28本塁打)
パ・リーグ 吉田正尚 12敬遠(シーズン成績:3割2分2厘、29本塁打)

両選手の特徴はホームラン数が多いだけでなく打率も兼ね備えた選手ということが分かります。

現役選手編

順位敬遠回数選手名
1位50回石原慶幸(広島)
2位43回青木宣親(ヤクルト)
3位41回糸井嘉男(阪神)
4位40回坂本勇人(巨人)
5位35回福留孝介(阪神)
6位34回ウラディミール・バレンティン(ソフトバンク)
7位30回内川聖一(ソフトバンク)
8位28回中島宏之(巨人)
9位27回松田宣浩(ソフトバンク)
9位27回柳田悠岐(ソフトバンク)

※2020年シーズン開幕前

歴代記録編

順位敬遠回数選手名
1位427回王 貞治
2位228回張本 勲
3位205回長嶋 茂雄
4位189回野村 克也
5位182回門田 博光

※2020年シーズン開幕前

敬遠の記憶【伝説編】

敬遠において野球ファンの記憶に残る伝説を3つご紹介します。

5打席連続敬遠

第74回全国高等学校野球選手権大会(1992年)第二回戦、明徳義塾 対 星稜高校の一戦で起こった「松井秀喜選手(元ニューヨーク・ヤンキース)への5打席連続敬遠」です。

当時の松井選手は強打者として甲子園に名を轟かせ、ツーアウトランナーなしの場面においても敬遠されたという記録があります。

敬遠球サヨナラタイムリーヒット

1999年6月12日に行われた阪神対巨人伝統の一戦、試合は延長12回ウラ、1アウト1・3塁の場面で打席には新庄剛選手(当時:阪神タイガース)。

新庄剛選手は槙原寛己選手(当時:読売ジャイアンツ)が投じた敬遠球をサヨナラヒットにしたのです。

満塁で敬遠

1998年5月28日に行われた、アリゾナ・ダイヤモンドバックス対サンフランシスコ・ジャイアンツの一戦。

試合は9回ウラ、2アウト満塁、8対6でダイヤモンドバックスが2点リードの場面で打席には当時最強打者と呼ばれたバリー・ボンズ選手(サンフランシスコ・ジャイアンツ)。満塁にも関わらず相手ベンチはホームランを恐れ、ボンズ選手に敬遠を与えたのです。

敬遠は試合の勝敗を決める場面での戦略

敬遠は試合を決める大事な局面で用いられる戦略である為、野球ファンに多くの記憶を残します。敬遠について「正々堂々ではない作戦」などといった意見が多くありますが、それも含め野球を楽しんでもらえればと思います。

ちなみに…敬遠を英語で

敬遠はIntentional Walk(インテンショナルウォーク)といいます。

故意的にフォアボールを与えることからIntenational(故意的)が使われます。