甲子園の砂、それは高校野球児として甲子園出場が叶ったときにはじめて手にする事のできる勲章といっていいでしょう。甲子園大会でプレーをする高校球児の一挙手一投足に日本中の国民が目をくぎ付けにされます。そんな甲子園には「甲子園の砂を持ち帰る」という面白い文化があります。さて、試合後に甲子園の砂を持ち帰る選手たちですが、一大会で持ち帰られる砂の量はどのくらいになるかをフェルミ推定を使って考えてみたいと思います。
フェルミ推定とは
フェルミ推定とは、実際に調査することが難しいことを、自分が持っている知識や手掛かりを元に論理的に推論し概算することをさします。
甲子園の砂について推測できること・知っていること
推論することがフェルミ推定ということで、現時点で知識として持っている甲子園の砂に関する情報を頼りに推測したいと思います。
- 推測出来る事:甲子園の砂を持ち帰る選手の多くはグラブケース、もしくはシューズケースに入れて持ち帰る。
- 知っている事①:甲子園には北海道・東京を除き各都道府県からは1校ずつ出場 する(北海道・東京は東西南北に分かれ2校ずつ出場)
※節目の記念甲子園大会(80回.90回.100回)などは(神奈川・埼玉・千葉・愛知・大阪・兵庫・福岡)などから東西南北2校ずつ出場する。
- 知っている事②:甲子園の場合、一校当たりベンチ入りできる人数は18人
- 知っている事③:甲子園の砂を持ち帰る選手と持ち帰らない選手がいる(ほとんどの選手が甲子園の砂を持ち帰る)
甲子園の砂の導き出し方
高校球児が甲子園の砂を持ち帰る量(重さ)=1人当たりが持ち帰る砂の量×砂を持ち帰る人数
上記の式によって重さを推測することができます。
1. 一人当たりの持ち帰る甲子園の砂の量
一人当たりの持ち帰る砂の量はケースに入る砂の量から推測することができます。
この際、砂を持ち帰る量は袋の大きさを知る事が大切になります。一般的に高校球児はグラブケースかシューズケースに砂を入れます。そこから推論すると、ケース一杯に砂を入れてもおよそ2kgでしょう。一方で砂を持ち帰る選手全員がケース一杯に砂を入れるとは限らないので、ここでは2kgの80%、つまり約1.6㎏とします。
2. 甲子園の砂を持ち帰る人数
甲子園球児は出場校数×ベンチ入りの人数から計算することができます。
通常、北海道と東京を除く各都道府県から一校ずつ出場するので49代表(北海道と東京は二校ずつ出場)の高校が大会に参加しますので49代表×18人で882人の高校球児がいることが分かります。また、出場者全員が砂を持ち帰るわけでない為、ここでは80%の選手が甲子園の砂を持ち帰ると仮定します。そうすると出場者882人のうち80%なので705人が砂を持ち帰ることとなります。
3. 推測される回答
上記の通り、705人の高校球児が1.6kgずつ持ち帰ると仮定すると、1,128kg=1.1トンの砂が毎年持ち帰られていることになります。あくまでもこれは推測になりますので、正しい数値ではありませんが、年間1トン程度の砂が高校球児によって持ち帰られる事が分かりました。
甲子園の砂にまつわる話【番外編】
甲子園の砂ってどこの砂?
黒土の産地:岡山県日本原、三重県鈴鹿市、鹿児島県鹿屋、大分県大野郡三重町、鳥取県大山 などの土をブレンドしている。(毎年決まっているわけではない。)
砂の産地の変遷:甲子園浜及び香櫨園浜社有地 ~ 瀬戸内海産の砂浜 ~ 中国福建省 ~ 京都府城陽
黒土と砂の割合:春は雨が多いため砂を多めに、夏はボール(白球)を見易くするために黒土を多くブレンドしている。
https://www.hanshin.co.jp/koshien/qa/answer06.html
甲子園の砂をいつから持って帰りはじめたの?
甲子園の砂を初めて持ち帰ったのは野球の神様と呼ばれる川上哲治氏が、1937年の第23回の決勝戦で惜しくも優勝を逃した際、後輩たちには来年優勝してもらいたいという願いを込めて甲子園の土を持ち帰り、熊本工業のグランドに撒いたとされています。またその砂はグラブやシューズケースでなく、靴下に入れて持ち帰ったとされています。
https://www.hanshin.co.jp/koshien/qa/answer06.html
甲子園の砂から楽しく勉強しよう
一回の甲子園大会で高校球児が砂を持って帰る量はおよそそ1.1トンに及ぶことが推定が出来ました。その数値が合っているか合っていないではなく、どうしたらより確からしい数値を導き出すことができるのかを論理的に考える力を身に着けてもらえたら幸いです。
また、こういった考え方は就職活動で論理的思考力と一般的教養を身に着けているかを確かめるために「フェルミ推定」としてを出題をされます。
就職活動の為に論理的思考力を身に着けるのではなく、自分が気になる事や解決したい課題を解く為に、このような考え方身に着けてもらえたら嬉しいです。
こちらに、甲子園の砂を集める動画を張り付けましたので、ご家族でご覧ください。