メジャーリーグ通訳の仕事内容とは|日本人選手と衣食住を一緒に過ごす通訳のやりがい

メジャーリーグ通訳の仕事内容とは|日本人選手と衣食住を一緒に過ごす通訳のやりがい

ゲストトーク【野球談議】

東京都世田谷区にある野球教室のPyrus Baseballでは、少年野球(学童野球)世代の子どもたちやその親に対して、野球を通じて考える力や決断する力の大切さを教えています。今回はメジャーリーグのカンザスシティ・ロイヤルズで通訳を務めていた若杉健太さんに、通訳の仕事内容を聞きました。

メジャーリーグの通訳の目指し方

私はサラリーマンとして日本のメーカーで勤務をした後、米アリゾナ大学で2年間野球と経済学を学び、その後2年間はカンザスシティ・ロイヤルズというメジャーリーグの球団で日本人選手の通訳を務めました。

通訳になるには、球団の募集に応募するのが一般的なルートです。日本のプロ野球選手がメジャーリーグに移籍する時や、マイナーリーグに日本人選手が挑戦する時に通訳の公募が出ることがあります。選手と同じで、基本的には一年契約になります。給料は球団からもらう場合が一般的ですが、メジャーリーグで活躍している選手の通訳の場合は選手から給料をもらうこともあります。

私がメジャーリーグの通訳になったのも、当時16歳の日本人選手がロイヤルズのマイナーリーグに入団したことで、球団が日本人の通訳を公募していたからです。もともと大学卒業まで野球をやっていましたが、通訳になるつもりはなく、アリゾナ大学で野球を学んだ後はメジャーリーグ球団のビデオコーディーネーターという仕事を探していました。

ただ、最終的には16歳でマイナーリーグに挑戦した日本人選手の成長に携われるということに魅力に感じ、私も通訳に挑戦することにしました。

メジャーリーグの通訳の働き方

通訳を担当した日本人選手が未成年で、アメリカでの在住経験はありませんでした。そこで、通訳としてグランド内での会話の手助けするではなく、親の代わりとしての勤めを果たしました。グランド内外で共に過ごし、食事や買い物、遊びに一緒に行きました。

メジャーリーグの通訳の仕事のスケジュールは、選手と同じ内容になります。選手は球団のクラブハウスで朝食を取り、午前中は選手が各自でウォームアップを行い、そこから昼食を挟んで筋肉をトレーニングします。シーズン中だったら試合に備えますが、ずっと選手に帯同しています。

私が担当していた日本人選手はピッチャーでした。練習時は選手と一緒にブルペンに入ったり、試合中はピッチングコーチと一緒にマウンドに行ったりと、事あるごとに選手とスタッフの間に入って、会話の手助けをします。

メジャーリーグの通訳のやりがい

私も大学まで野球をやっていました。野球が好きで、メジャーリーグの野球を全て知りたいという思いが働く原動力でした。ピッチングコーチやトレーニングコーチの発言内容を聞くのがとても楽しみでしたし、コーチがなぜ今の指導方法を取っているかを考える時間も楽しかったです。

もちろん、通訳をしている日本人選手がマイナーリーグで活躍するのもモチベーションの一つでした。私が担当する日本人選手が16歳と若かったこともあり、選手以上に監督やコーチと仲良くなり、日本人選手とチームメイトやスタッフの橋渡し役になることを心がけていました。

メジャーリーグの通訳に必要な英語のスキル

私がメジャーリーグの通訳に必要な英語を勉強していたのは、米アリゾナ大学に入学する前と入学後の合計4年間くらいです。日本の大学受験のために勉強していた英単語の勉強は役に立っています。

メジャーリーグの通訳に求められる英語のレベルが決して低いわけではありません。グランドで起こっていることやコーチの発言内容を英語でタイムラグ無く日本人選手に伝えることが求められます。逆もまたしかりです。

私はTOEICなどを受けておらず、英語の勉強は社会人になってから真剣に始めました。ただ通訳をやる上では、アメリカの大学を卒業できるレベルの会話力は必要になります。

メジャーリーグの通訳をするためには野球経験が重要

メジャーリーグの通訳をやる上では野球のルールやサインプレーを知っていて、日本人選手に日本語で説明できることが重要で、その意味では野球をやっていた経験が非常に生きました。

基本的に通訳をやっている人は、野球界で働きたいと思っていた野球経験者が大半です。ただ一方で、私の知り合いには野球経験がないバンドマンで通訳をやっている人もいて、通訳は野球を経験していなくても野球界で活躍できる仕事とも言えます。

少年野球の子どもたちにメッセージ

好きなことならば、学んで吸収するスピードは速くなり、より長く継続できるようになります。例えば英語を学ぶとしても、「英語を勉強する」という意識を持つよりも、「好きなメジャーリーグのコーチが英語で何を教えているか知りたい」という意識を持ったほうが、学びが継続できるはずです。

何かに一生懸命に取り組む時には、自分が「これが好きで取り組みたい」という真の目的をはっきり持っておきましょう。

取材協力

若杉 健太(わかすぎ・けんた/少年野球チームから大学野球部まで野球を経験。メーカー勤務後、米アリゾナ大学に2年間留学して、メジャーリーグのカンザスシティ・ロイヤルズにて日本人選手の通訳を2年間務める。