世田谷区・高津区で活動する少年野球チーム「パイラスアカデミー世田谷」は、少年野球(学童野球)世代の子どもたちやその親に対して、職業紹介を通じて野球の魅力を伝えています。今回は現役のスポーツ新聞の記者に、野球の最新情報を伝える仕事の魅力を聞きました。

スポーツ新聞記者の仕事内容

スポーツ新聞記者の仕事内容は多岐にわたります。野球やサッカーといったスポーツを取材する記者以外にも、事件を取材する社会部記者や、芸能界を取材する芸能記者が所属しています。私もこれまで、社会部や芸能界、そしてスポーツといった様々な部署を経験してきました。

入社した時に担当部署の希望はありますが、100%その通りになることはありません。個人の特性や世の中の動きにも合わせ、会社全体の方針で各部の人員を調整し、配属が決まります。私もスポーツ担当を希望していたので、他の担当になった時は驚きました。ですが、社会部では色々な事件を通じて取材の仕方を基礎から学ぶことができますし、どの部署に行っても仕事のやりがいが感じられる職場です。

スポーツ新聞記者で野球担当の場合の働き方

プロ野球担当のスポーツ新聞記者の場合は、球団の数だけ担当記者がいるのが一般的です。中にはメジャーリーグ担当もいて、複数の担当記者で海外の日本人選手を取材します。

プロ野球のシーズン中は、球場で試合を見るだけではありません。午前中に球団事務所を訪れて、スタッフを取材することもあれば、2軍の練習をのぞくこともあります。試合がナイターの場合は、練習が午後から始まりますが、そこでは監督やコーチといった球団スタッフの方々と話します。今は新型コロナウイルスの影響で直接会って取材することが難しくなっていて、オンラインでしか取材できないこともあります。

スポーツ新聞は毎朝発売されますが、締め切りには時間差があります。翌朝発売される紙面に向けて、ナイターの試合の記事を書く場合を例に挙げて説明します。ほとんどは試合が終わる前に「早版」と呼ばれる締め切りが来ます。そこに向けて試合開始前から途中までの動きを基に、試合を見ながら記事を書いて出稿します。試合後に「後版」と呼ばれる締め切りが来るので、新しい情報を入れて原稿を差し替えます。最終の締め切りは日付が変わった後にあり、そこで翌朝発売の記事に向けた仕事が終わります。1日に1本の記事を書くのではなく、何回も書き直すというイメージです。

また、プロ野球の試合がないオフシーズンでも記事を書きます。ただ、オフシーズンはイベント事が少ないので、来年に向けた球団の課題など、シーズン中にオフシーズンに書く記事のネタを仕込んでいくのが一般的です。

スポーツ新聞記者の仕事の大変さ

スポーツ新聞記者の仕事は、やっぱりハードです。忙しくて全く食事が取れないことや、睡眠時間が削られることもあります。

なぜ生活リズムに不規則な波ができるかといえば、スポーツ新聞記者の働き方は、基本的には取材対象の動きに合わせるからです。スポーツ担当だと、時間が決まっている試合にあわせて動くことが多いですが、社会部だと事件が起きれば現場に直行直帰します。記者会見の予定が急に入れば、その会見場まで駆けつけます。

私が経験した中では、芸能界を担当した時が一番大変でした。主に、結婚や訃報など芸能人の冠婚葬祭が取材対象になりますが、ニュースが24時間365日入ってきます。緊張感や張り詰めた雰囲気が、他の部署以上に感じられる経験でした。

スポーツ新聞記者のモチベーション

スポーツ新聞の記者のモチベーションは、記者によって様々です。長くスポーツを担当していた私の場合だと、誰が見てもすごいプレーはひと目見て分かりますし、みんながそれを伝えます。ただ、中には「自分が伝えないと、もしかしたら世の中の誰も知らないかもしれない」という話があり、そういった自分独自の話を見つけて発信するために日々頑張っています。

昔、先輩記者から「原稿は料理と一緒だ」というアドバイスをもらいました。たとえ同じテーマの記事を書いていても、記者がどういう素材を持ってきて、どういう盛り付け方をするかで中身が異なるという意味です。オリジナルの原稿を書くために、取材や準備の仕方を工夫しています。

少年野球で頑張る子どもたちにメッセージ

少年野球の子どもたちには、ぜひ好きなものに熱中してほしいと思っています。それは野球でも他のスポーツでも、スポーツ以外でも構いません。

プロ野球の世界でも、ドラフト1位で入団した選手が活躍するかどうかは、その選手のモチベーション次第です。高いモチベーションを持って続けられて、周囲の人と差をつけられて活躍できる何かを見つけてください。