東京都世田谷区・川崎市高津区にある野球教室のパイラスベースボールでは、少年野球(学童野球)世代の子どもたちや保護者に対して、野球を通じて考える力や決断する力の大切さを教えています。子どもたちに将来の働く姿を想像してもらうため、今回はスポーツライターとして活躍する大利実さんに、取材でスポーツの魅力を追求し、情報を発信する仕事の魅力を聞きました。

スポーツライターの目指し方

私は大学卒業後すぐに、スポーツライター事務所のアシスタントを務めました。文字起こしや情報収集などの基礎を学び、スポーツライターが日々どのような仕事を送っているのかを間近で見られたのが一番の収穫でした。そこで2年間勤めた後、フリーランスになり、中学軟式野球や高校野球を取材しています。

スポーツライターになるには、最初に出版社や新聞社に勤めることが一般的なルートです。そこで取材や執筆をしながら、経験と実績を積むことが大切です。

いきなりフリーランスになってしまうと、人脈や実績がなく、取材申請の許可が下りなかったり、取材を断わられたりする可能性があります。スポーツライターを目指すには、まずは記事を書ける環境で経験を積むことをおすすめします。

スポーツライターとスポーツ新聞記者の違い

一般的に、試合の結果や内容など、日々の出来事を記事にするのがスポーツ新聞記者の仕事です。締め切り時間や文字数などの制限が多い中、取材した試合の情報をいかに早く読者に届けるかが求められます。

一方で、試合に至るまでに選手が歩んできた過程や監督の心理など、日々の取材の積み重ねで、記事を構成するのがスポーツライターの仕事です。私の場合、取材で得たエピソードをその日に書くことはありません。選手の打ち方・投げ方の変化やチームの戦術の変更など、グラウンドで気づいたことを取材し、その情報を積み重ねて1つの記事にしています。

スポーツライターの働き方

一日中パソコンの前に座り、原稿を書いたり、情報を整理したりしています。1年間で一日としてパソコンに向かわない日はないです。そういった意味で、仕事と休みの区分けのない生活を送っています。

取材は、主に昼から始めるが多いので、朝はゆっくりとしていることが多いです。取材へ行って、練習や試合が終われば、すぐに自宅へ戻ります。取材先から帰って、過去のエピソードを整理し、記事を書くという流れで仕事をしています。

スポーツライターのやりがい

人と人とのつながりを作ることができるのは、スポーツライターの仕事のやりがいの一つです。私の書いた記事や本を読者が読んで、「○○中学の練習を見に行きました」「練習法を取り入れて、上達のヒントをつかめました」といった声が届くこともあります。取材した結果、人と人とをつなげることができ、さらにそこから野球が発展するのを見ることができるのは、仕事をしていて面白いと感じています。

今ではインターネット上に情報はあふれていますが、私は自分にしか取れない情報をつかむことを意識して日々取材しています。その誰も知らない情報が人の役に立ち、喜ぶ声を聞けるのは、この仕事の大きな魅力です。

スポーツライターの仕事のやりがいのもう一つは、子どもたちが成長していく過程を見届けられることです。中学野球時代に取材していた子どもたちが、高校野球やプロ野球で活躍している姿を見ると親のように嬉しくなります。そうした成長の過程を見られるのは、とても幸せなことです。

子どもたちにメッセージ

私が好きな言葉に『好きこそものの上手なれ』があります。私はこのスポーツライターの仕事を一度も嫌だと思ったことはありません。野球が大好きですし、選手や監督への取材も大好きです。それは好きだからこそやれてきたし、好きだからこそ続けてこられたのだと思っています。

野球にしろ、サッカーにしろ、プレーしていれば苦しいことやつらいことはたくさんあると思います。しかし、好きという思いがあれば、継続して頑張れるはずです。これからも、好きと思える夢中になれるものを大切にして欲しいと思います。

取材協力
大利実(おおとし・みのる/大学卒業後、スポーツライター事務所を経て独立。中学軟式野球、高校野球を中心に取材・執筆。『激戦 神奈川高校野球 新時代を戦う監督たち』(インプレス)、『高校野球継投論』(竹書房)など多数の著書がある。

書き手
上辻創太(かみつじ・そうた/1999年生まれ。同志社大学に進学し、スポーツ新聞部に所属。大学生アスリートへの取材を中心に活動